映画ドラマ書き殴り健忘録

主にNetflixで見たやつの感想 ネタバレの宝庫です

映画『パッドマン』〜いやパリーどんだけいい女やねん!!!!〜

公開当初かなーり話題になったこの映画、題材が最高なのでノンフィクションだけど気軽に見れそうだな〜とずっと気になっていました

ようやく見れたよ!

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広告からしていいよね〜!インドらしい明るい雰囲気!

 

はいあらすじ〜

インドの小さな村で新婚生活を送る主人公の男ラクシュミは、貧しくて生理用ナプキンが買えずに不衛生な布で処置をしている最愛の妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。研究とリサーチに日々明け暮れるラクシュミの行動は、村の人々から奇異な目で見られ、数々の誤解や困難に直面し、ついには村を離れるまでの事態に…。それでも諦めることのなかったラクシュミは、彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり、ついに低コストでナプキンを大量生産できる機械を発明する。農村の女性たちにナプキンだけでなく、製造機を使ってナプキンを作る仕事の機会をも与えようと奮闘する最中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――。

 

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こっからネタバレ満載だよ!

 

ぶっちゃけ、まあ良い映画でしたが!!

思ってたより明るくはないしインド映画なのに誰も踊らんかった!!(偏見)

いや、明るいよ?!明るいんだけどテーマというか、立ち向かう対象が重いし大きすぎんねん

インドも貧困の格差が激しい国。映画の途中でなんかえらい人が言いよったように、人口が単純に多すぎる。中心部では働く女性も増えてきてるけど、村ではまだまだ女性は家にいるものという考えが強く、夫に暴力を振るわれても泣き寝入りするしかないという女性も多く。。

主人公ラクシュミが生まれ育った村も、古くからのしきたりを重んじていて、女性は生理の間家の中には入れず、穢らわしい存在として外に出されていた。生理のことを男性の前で話するなんてことはおろか、生理用のナプキンにお金をかけるなんてあり得ない。使い古して血で汚れた布を洗って使い回し、人目につかないように他の服の下に隠して干す。どう考えても不衛生だけど、妻のガヤトリのセリフにあるように「恥をかくくらいなら不衛生で死んだ方がマシ」というのが村社会の常識。生理=恥。でもこれがこの時代のインドの宗教観であり固定概念。

 

驚くことにこの舞台、2001年の出来事というね。たった20年前のインドでは日本円にして1000円もの値段で数枚のナプキンが売られていた。なぜそんなことに?!研究や商品改良が進まないのは、ひとえにナプキンへの需要のなさ、さっきも言ったようなヒンドゥー教の教えとして生理=穢れという不浄観と、それを疑わず信じる熱心な信仰心があったから。

 

そこでラクシュミが動くわけ。愛する妻に病気になってほしくない!自作でナプキンを作るも失敗の連続。本人はいたって真面目に研究を進めるけども村の人からは「ラクシュミは狂った」って村から追い出されちゃうの。さすがの妻もいつまで経ってもナプキンの話ばっかりする旦那と離婚を決意しちゃう。

これがまあ序盤の話なんだけど、ちょっと待って!愛する妻のためにナプキンを開発する不屈の精神を持つ男の物語なのに、もう妻から見放されとるやないかい!!!!って最初は思ったよね。

 

でもさ、ラクシュミもラクシュミで、村で誰もナプキン試してくれんけどみんなの体を思うと使ってほしくていてもたってもいられんわ!って気持ちもわかるけど、普通に考えて中学生くらいの女の子に夜ナプキン渡しに行くオッサンやばいよ。加えてその時代の出来事なんでしょ、そらみんなから変質者扱いされても仕方ないわな。私ですら近所のおっさんが深夜にナプキン持ってきたら怖いわ。

 

そんなこんなで村を追い出され妻からも離婚を切り出されたラクシュミ、でもナプキン開発への意欲はなくなりません!

ラクシュミ、より多くの女性を救うことにシフトチェンジします。

愛する妻はーーー!!!???となった。

 

安価でナプキンを作る機械を開発したラクシュミに、マーケティングを主導したのがこのナプキンの商品名にもなる女性、パリー。

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画期的な開発とアイデア、情熱を持ってナプキンを作り上げたラクシュミに可能性を見出して、色々アドバイスしてくれる相方的存在になる。と同時にお互いに惹かれ合うわけだけど、最後は一緒にはならない。

パリーは都会的で先進的な女性だけど、ラクシュミはやはり村社会の出身。結びつくことはない、とパリーがそっと離れていくのね。

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いやーもうね、パリーがいい女すぎてやばいの。特許を取ってお金を多く稼ぐことをラクシュミに提案するけどラクシュミはそれを拒否して家を出て行ってさ、その時点で二人の違いが浮き彫りになるのに、それでもラクシュミを追いかけて、村に工場を作って女性たちを雇うこと、ナプキンの販売は女性に任せた方が賢明だということをきちんと教えてあげるのね。

最後の方でパリーを妖精だとラクシュミは揶揄するんだけど、妖精どころか女神様でしょうが!!!

 

ナプキン開発は一歩進んでも二歩進んでも、なかなか村社会には馴染めず挫けそうになるシーンが沢山あるんだけど、ラクシュミの諦めない精神やポジティブでユーモアに溢れる言葉たちがこの映画を盛り上げてくれてる。

最初、ラクシュミが初めてナプキンを薬局に買いに行くときの店員とのやりとりとか超面白い。

 

あと、一番は、おそらく本物のセリフをそのまま完コピしたのではと思われる、国連でのラクシュミのスピーチね。

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それほど堪能ではない映画、『リングアッシュ』を使って簡潔に、でもわかりやすく、伝わりやすく、ジョークを交えながら喋る姿には目を離せなかった。ノーカットだったからか、臨場感あふれる想いのこもったスピーチになっていた。物語の中ではラクシュミはあまりペラペラ喋る方じゃないんだけど、このシーンでだけ人が変わったみたいに喋る喋る。

 

結局ラクシュミは追い出された村に戻って奥さんとも元通りになるんだけど、多分見た人の多くはなんでパリーと都会で暮らさずに村に戻って支えてもくれなかった奥さんなのよ!!!と感じたのでは。

私もマジでそう思った。

最後一緒にパリーに会いに行こうとする横にいる奥さん見て、なんでお前普通にそこにおんねん!!!!ってなった。

けど、よくよく考えればその姿こそ、自分の身の丈に合った生活に戻り、欲張りすぎず民衆の幸福のために開発に身を捧げたラクシュミらしい姿なんだよね。

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そういう意味では、奥さんのガヤトリにあまりスポットが当てられなかったのが残念。わざとなのか??自分が生まれ育った村社会のしきたり、いや、彼らに取っては人生の道そのものであるヒンドゥー教への信仰心をある意味一番捨てたのはガヤトリなのに、そこがあんまり目立ってない。

 

物語としては面白い。ただ、愛する妻のためにー!!っていう謳い文句にするならもうちょいガヤトリの葛藤にスポット当ててあげてくださいよ!!って思った。

 

日本では当たり前のように使うことができてる生理用ナプキン。最近、男性だけのチームで、おしゃれな生理用ショーツが開発されたらしくて、日本のパッドマンだ!とか言われてるらしいけどお前らパッドマン見たんか?!ってなる。生理用品作ったからパッドマンなんとちがうよ、逆境に立ち向かいみんなを救ったヒーローだからパッドマンなんやで。と思う。

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普通にナプキンが使える現代、更に言えばピルで自分の生理もコントロールできる、そしてそれを選択できる環境に置かれた私たち。なんてありがたいことだろうと思う。

 

まあテンポもいいしユーモア溢れるし、国連のスピーチシーンを見るだけのためでも見る価値が十分にある映画でしたね!!!!

ほんじゃこのへんで。突然おわるよ!