映画ドラマ書き殴り健忘録

主にNetflixで見たやつの感想 ネタバレの宝庫です

映画『アデル、ブルーは熱い色』〜最高だったねってなる映画じゃないよ!!!〜

前にも見たことあったんだけどネトフリに上がってたから再視聴しました〜

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アデル、公開当初かなり話題になりましたね

異例の主演俳優もパルムドールを受賞したり、エモエモのエモって感じでみんながこぞって映画館にゴーしてた気がするんだけど、最も取り上げられたのはその性描写の多さ故なんじゃないかな。

多分今までの映画にないくらい女性同士、レズビアンのセックスが描かれてる。

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全部合わせたら10分あるらしい。長すぎでしょ、映画館どんな空気になったんよ。

いや、これカップルや家族とかで見るのはもちろんさ、友達同士で見に行くのも結構際どい映画だよ。

もー、会えばセックスしーのアデルの実家でしーのエマの実家でしーの、ちょっとやりすぎじゃない?!お母さんたち起きちゃうわよ!!って心配になるレベルの激しいファイトかましてんの。ひえー!ってちょっと早送りしちゃったわよ。

これは一人で見るのが一番のアンサーだと思う。

 

はい あらすじ

 

2013年・第66回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。フランスの人気コミックを原作に、「身をかわして」「クスクス粒の秘密」などで注目を集めたフランスの新たな才能アブデラティフ・ケシシュ監督が、青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を、大胆な性愛描写とともに描いた。文学を愛する高校生アデルは、青い髪をした美大生エマと運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになる。しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていき……。カンヌ映画祭では、審査員長を務めたスティーブン・スピルバーグの計らいによって、ケシシュ監督とともに、エマ役のレア・セドゥーとアデル役のアデル・エグザルコプロスに対してもパルムドールが授与され、カンヌ史上初めて俳優がパルムドールを手にした。

 

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フランス映画ならではのカメラワークも相まって、アデルの10代から20代という人生一番楽しい真っ盛りに揺れつつ大人になっていく心の部分がもう震えるくらい伝わってくる。学生時代はトムとうまくいかなくなって友達と喧嘩しただけでも授業中泣いちゃうようなんだったのに、社会人になってエマと別れちゃって私生活は死ぬほどぼろぼろなのに仕事はしっかりこなすようになってるのとか、リアルだよね。ウゥーとなるよ。

 

この映画から私が受け取った感じたこと

まず、『自分と違う人って、キラキラして見えるけど憧れは憧れのままなんだよねー』です

アデルは最初は自分がレズビアンであることに否定的で、それに気づくのがエマと出会ってからなんだよね。レズビアンであることを周囲に公表して恋人もいて家族にも認められているエマと違って、アデルは家族はもちろん友達や職場にも多分最後まで自分がレズビアンであるのとを隠し続けた。

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このことももちろんなんだけど、アデルとエマは全然違う。お互いおそらく出会いは運命的で、一目惚れで、情熱にあふれてた。

セックスも最高で、気持ちよくて、抱き合ってる時間が唯一無二だったんだと思う。

でも、育った環境や思想やこの先行く道があまりにも違いすぎる。

学生と社会人、庶民的で堅実的な両親と裕福で自由のある両親、ボロネーゼと牡蠣(広島県民としては生牡蠣レモン丸呑みは見ただけでお腹痛くなる案件)、赤ワインと白ワイン、公務員と美術家。そして、今この瞬間に幸せを求めるアデルと外に外に自分の能力を高めていきたいエマ。そらすれ違って当然だよな〜。

アデルにとってエマは、その切ないくらい青い髪型が輝いて見えるほど、憧れて止まない存在だったんじゃないかな。

だからそばにいられるだけでよかったんだろうな。

でもその情熱を教えたエマは、もっと先に行きたかった。アデルはその先には自分が追いつかないことを察して不安で不安で裏切るような行為をしちゃう。

エマがアデルを家から追い出すシーンなんか緊張感ありすぎて、お互いの、なんでわかってくれないの、がもーーグサグサ刺さってくるわけよ。

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まあどう考えてもうまくいく2人ではないことは傍目に見て丸わかりで。おそらく人生で一度きりと感じたであろう恋に落ちてしまったアデルは、藁にもすがる想いで最後までエマに固執しちゃうんだけどもね。忘れられないよね、うんうん。でもカフェで股間触らせるのはダメだぞ。

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次に感じたこと『アデルのあまりにも人間的すぎるキャラクター、エマのジェンダーを超えた色っぽさ、ズルい!!!!』です

まず、アデルがなぜあんなに魅力的か。髪もボサボサだしメイクもほぼしてないのに色気を感じるのはなぜか。アデル見て気づいちゃったよ、欲望丸出しの人間って色っぽく見えるんだね!!!!まじか。

アデルはボロネーゼバクバク食べるし、どこだろうとエマとセックスセックスだし、エマとの間に隙間ができてきたら寂しくて他の男とセックスセックス。3年ぶりに会ったエマとより戻したくて股間触らせるていう。欲望に忠実か!!!!でもこの欲望との付き合い方が自然というか。隠そうとしない、丸出しなんだけどそれが見てる側も扇情するような魅力になってる。

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劇中にめちゃ出てくるボロネーゼ、超美味しそうすぎて今夜はボロネーゼにしちゃったよ

 

エマはもーー言うまでもなく最高。レアセドゥ、フランスの俳優で一番好きだよ。アデルと初めて出会った横断歩道で、同じく心を奪われた視聴者は私だけじゃありませんね?!?!キャロルのケイトブランシェットもそうだけど、運命的な恋のファーストミートのシーンってマジでほんとに最高だよな(語彙力の喪失)

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この2人が実に魅力的すぎて、物語としてはありきたりなストーリーなのにのめり込んじゃった。

 

あとはね、きっと見た人の印象が分かれるラストシーン。エマの念願の個展にアデルも駆けつけるシーン。おいおいアデル、おま、青いドレスで来るんじゃないよーーー涙!!!

この時すでに、ていうかエマは物語の中盤で青い髪やめてブロンドになってんのね。二人の心が離れて行く描写でもあったんだろうけど、エマにとって、青色はその程度。でもアデルにとってはとってもとっても大切な色だってことが、ここで再度強調されてんの。

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うおーーやめろアデル辛いから辛いのビンビンに伝わってっからやめろやめてくれーーー!!今すぐ帰って着替えて!!!!

そんな未練タラタラなもんだから、エマのかいた絵なんて全然見とらん。もうどうしていいかわからんくて身の振り方がわからんすぎてフラフラ歩くだけで前も見とらん。でも視聴者側にはうっすらと、エマが描いたであろう新しい恋人の絵も見えたりしてギャーやめてくれとなる。辛い辛い辛い。

そこで、前にも会ったことのある俳優の男性と再会して、まだニューヨーク行ってないの?旅行は魂の解放だよって言われて別れて、アデルはそのまま結局何一つ目もくれず会場を後にする。その後ろ姿が果てしなく小さくなるまで映されるカメラワーク。

そして俳優男性が、アデルが帰ったことに気付いて追いかけるけど見つけることはできない。

 

これね、この終わり方。私的には、踏ん切りがついたのかな??って見えた。魂の解放の方向に進んで行ってくれたらいいな。。

 

映画の感想はここまでなんだけど、この映画を褒めたり最高だぜとコメントする前に、ちゃんと知っておかないといけないこと。

それは、この作品を作るにあたって、主演二人へのセクシャルハラスメント問題があったということ。

多すぎる、そして生々しすぎる性描写。え、二人は嫌じゃないのこれ。。。やりすぎじゃないのかな。。俳優ってすごいなって、事前情報がなくったって察したよ。主演の二人はもう2度とこの監督とは仕事したくないってコメントを残してるのだとか。性描写に対して強制的なムードというか、強要されたというか、屈辱的だったと。

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だから、この映画はもちろん好きだし、キャラの魅力が溢れた最高の仕上がりだと思うんだけど、主演二人がそう思われること、この作品が世に受け入れられることをもしかしたら望んでいないかもしれないなってことも、わかっていないといけない。

役者ってでもそういうもんなんじゃ?って思う人もいるかもだけど、たとえ仕事だとしても嫌なことは嫌だしやりたくないことを無理に強要されて、しかもかなり自分のプライベートな部分が出てしまう結果になるっていうのは、人としての尊厳の問題になるよ。

 

この映画を見る時はほんとにいろんな気持ちになる。嫌だっただろうにすごい演技力だなとも思う。

そういう意味でも一度見ておくのはアリな映画だし、背景と性描写を抜きにしてしまえば十分に芸術的で甘美で切なくてギューっとくる映画だよ。フランス映画の中でも見やすい方だしね。

 

ただ、絶対に一人で見たほうがいい。ワラワラ

カップルで見る人とか、覚悟しておいてくれ。